健康な状態から精神疾患の発症までには連続性があり、その背景には生活習慣や環境等、ライフスタイルの問題が大きくかかわっています。もし、治療が薬物療法に偏り、背景にあるライフスタイルの問題に対する介入がなされなければ、本来の状態まで回復することが難しくなる場合もあります。例えば、休職など一定期間の療養による体力低下、生活リズムの乱れは、回復を阻害する大きな要因です。これに対し、近年は運動の様々な精神疾患への治療効果が指摘されています。しかし、適切な運動負荷には個人差があり、どのような運動を、どのタイミングで実施するのかは、精神症状、身体機能を適切に評価することが必要です。そこで、当院では、疾患に対する治療に留まらず、運動、休息をサポートし、ライフスタイルが改善するまでの連続した対応を提供します。具体的には、医師による保険診療に加え、専門の心理師、精神保健福祉士による運動プログラムとタクティール®ケアを用いたリラクゼーションプログラムの3本柱です。
当院の治療の3本柱
医療(保険診療)
精神科医による診断、治療方針の提案、必要に応じた薬物療法(漢方を含む)を行います。また、各種血液検査、心理検査も実施します。
初診時
生活歴、既往歴、現病歴を確認の上、診断、治療方針を決定しますので、30分~1時間程度の診察時間を要します。身体的評価のため血液検査を行います。また客観的な評価ができるよう、各種心理検査を行って症状をできるだけ数値化します。
保険診療(3割負担)の場合 | 約2,500円~5,000円 |
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再診時
初診時の評価に基づき、治療の反応を確認、適宜薬物療法の調整、精神療法、生活指導を行います。状態に応じて、運動、リラクゼーションプログラムの適切な組み合わせを計画、提案します。
保険診療(3割負担)の場合 | 約1,000円~3,000円 |
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こんな方におすすめ
症状のある方はすべて対象になり、重症度や年齢、性別は問いません。ただし、入院治療が必要な場合や、特殊な治療(依存性の高い薬物療法等)が必要な場合は、他院をご紹介させていただきます。
また、当院はアスリートに対する治療も行います。いわゆるオーバートレーニング症候群のご相談にも応じます。
保険診療を希望されない場合
自費診療のご希望にも応じます。
45分~1時間 | 15,000円 |
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その他
公認心理師によるカウンセリング
1時間 | 12,000円 |
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心理検査(WAIS-Ⅲ、WISC)
検査時間約2時間、 後日結果説明約30分 |
20,000円 |
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運動プログラム(自費)
認知行動理論に基づいて、心理師とマンツーマンで行います。ライフスタイルにおける価値と運動の位置づけ、精神症状、身体機能を評価した上で、オーダーメイドのプログラムの計画立案・実施のサポートを提供できる点が最大の特徴です。運動経験のない方、体力が低下した方から、アスリートとして競技パフォーマンスの向上を目指しているレベルの方まで、幅広く受けていただくことができます。
※ 医師による診療がなくても受けられますが、初回は、医師の診療を受けていただきます。
精神症状の評価;精神科医または心理師による事前評価
効果的な運動プログラムを作成するためには、トレーニングの原理原則に従うことが大切です。また健康づくりのための運動プログラム作成の際には安全性を最重視する必要があります。その際は個人の潜在的なリスクや体力水準などの評価が重要となります。
※ 初回は、以下についても評価を行います。
- 過去:生活歴、既往・現病歴、運動歴
- 現在:価値観、身体活動量、睡眠、メンタルヘルス状態
※ 必要に応じて、別の評価項目が加わる場合があります。
目標設定
競技パフォーマンスの向上、健康な生活など個人に応じた目標を設定し、運動トレーニングの原理、「過負荷の原理」「特異性の原理」「可逆性の原理」に基づいて、運動プログラムの作成と実行をサポートします。
- 過負荷の原理:ある程度の負荷を身体に与えないと運動の効果は得られません。強度の最低ラインは、日常生活の中で発揮する力以上の負荷です。ただし、低体力者や高齢者が筋力や筋量の維持を目的とする場合は、この原則に必ずしも従う必要はありません。
- 特異性の原理:運動中のエネルギーの使われ方や筋肉の活動の仕方と関係する能力が増加します。目的に沿った部位のトレーニングを行うことが求められます。
- 「可逆性の原理」:トレーニングは継続しなければ、元に戻ってしまうということです。
身体機能の評価
筑波大学監修のAIを使ったシステムSportip®による姿勢診断と定期評価等
運動プログラムの計画立案
上記評価に基づき、オーダーメイドのプログラム
運動プログラムの実行
身体機能に応じて、パワープレート®を用いた短時間で適切な負荷をかけられるトレーニングを行います。
※ パワープレートは、3次元ハーモニック振動®という微細で規則的かつ、高速振動を生み出します。パワープレート(25Hz~50Hz)の振動により、身体の神経、筋肉、筋膜の自然な反射反応が引き出され、エクササイズ効果をより高めることができます。パワープレート上で姿勢を取るだけで、普段あまり動かしていない身体の深部への刺激が入り、短時間での筋力アップやバランス力アップが期待されます。国際的な研究で効果が実証されており、世界のトップアスリート、医療機関で活用されており、リラクセーションから、本格的なワークアウトまで対応が可能です。
当院では全身ワークアウトプログラムによるより専門的なトレーニングが行えるPower Plate®️pro7を導入しております。
自宅でのプログラム実施と評価
1回の運動メニュー実施でも効果はありますが、効果の維持・向上のために継続をお勧めします。自宅で行うプログラムは動画データで提供いたします。2回目以降は、自宅で実施する運動プログラムの取り組み状況と精神症状と身体機能の変化を、定期評価で確認し、適宜、プログラムの修正、および新たなメニューの提供を行います。
こんな方におすすめ
- 身体が疲れやすい
- 朝起きられない
- 不安、不眠のコントロール
- 休職後の体力低下
- 現在行っているトレーニングの補充
- アスリートのパフォーマンス向上
- オーバートレーニング症候群(※)
(※)オーバートレーニング症候群
オーバートレーニング症候群とは
スポーツ活動などによって生じた生理的な疲労、精神的な疲労が十分に回復しないまま積み重なり、常に疲労を感じる慢性疲労状態になることです。
スポーツでは日常生活で行う活動よりも負荷の高い運動を行い、トレーニングの効果をあげますが、トレーニング後の疲労の回復が不十分であったり、十分な栄養と休養を得ていなかったりした場合は、競技成績の低下やトレーニング効果が低下してしまいます。
これは肉体的・精神的なストレスによって、脳の「視床下部」や「脳下垂体」と呼ばれる部位から分泌されるホルモンのバランスが崩れることによるものだと考えられています。
オーバートレーニング症候群の症状は、段階的に進んでいきます。
- 軽症:日常生活上での問題はなく、競技での成績低下がみられるようになります。トレーニングの負荷が大きくなると、身体が思うように動かず疲労を感じるようになります。
- 中等症:だんだんと軽い負荷のトレーニングでも身体が思うように動かなくなってきてつらく感じ、日常生活で疲れやすくなります。
- 重症:ほとんどトレーニングができなくなります。日常生活においても易疲労性、全身倦怠感、睡眠障害、食欲低下、体重減少、集中力の低下、安静時心拍数の増加、血圧の上昇、運動後の血圧が回復する時間の遅延などの症状がみられます。さらには、気持ちの落ち込みや活気がなくなるなど、精神的な症状までみられることもあります。
オーバートレーニング症候群の診断
貧血や感染症などの病気にかかっていないのに、安静時心拍数の増加、安静時血圧の上昇、運動後の血圧の回復の遅れなどがみられ、競技成績の低下、または最大パワーの減少がみられると、オーバートレーニング症候群と診断されます。
- 起床時の心拍数が1分間に10拍以上増加している
- 筋肉痛や疲労がなかなか回復しない
- 風邪などの感染症にかかりやすくなる
- 安静時の血圧が上昇する
- 意欲が低下する
- 食欲低下
- 寝つきが悪くなる
- イライラする
- 抑うつ など
オーバートレーニング症候群の治療
オーバートレーニング症候群の治療は、トレーニングを控えて身体をゆっくりと休め、バランスの良い食事を摂ることです。ビタミンB群やビタミンCを摂るとよいといわれています。症状が重くなると回復にかかる時間も長くなるため、早期発見・早期治療が大切です。起床時の疲労感がなくなるまで休養が必要となります。
治療の原則は、「完全休養」です。月単位で休息をとり、疲労の回復を優先させながら、一つ一つの症状に合わせて治療を進めていきます。必要に応じて、薬物療法も行います。疲労感が改善したら、少しずつ運動を再開していきます。
オーバートレーニングの予防
オーバートレーニングは、急激な負荷のトレーニングや休息・栄養・睡眠が不十分であること、過密なスケジュール、過度の精神的なストレスなどが要因となって起こりると考えられています。トレーニングは無理をせず、体調の悪い時はトレーニングメニューの変更や負荷を軽くする、トレーニング時間を短くする、トレーニングを中止するなどして対応し、栄養をしっかり摂って休養することが大切です。性格が真面目な人が特にかかりやすいといわれています。競技の目標と現実のギャップがあると、そらに自分を追い込んでしまい、悪循環が生じてしまいます。
普段から頑張り過ぎず、無理せずに適度な休憩と栄養補給を心がけ、運動と休養と栄養のバランスを保ってトレーニングを行うことが重要です。ストレスを溜めすぎないように適宜、発散することも大切です。このような適切なトレーニング負荷、と休養、栄養のバランスをとるための、セルフマネジメント能力を高めるためにも、当院の運動プログラムは役に立つことが期待されます。
オーバートレーニングはトップの競技選手だけではなく、どの競技レベルにおいても、つまり一般の人にも見られる症状です。疲れが残ったままトレーニングを重ねても効果はありません。健康的な生活を送るためにも、普段から運動と十分な睡眠と栄養を摂るよう心がけましょう。
休みや栄養を摂る、2週間~1ヵ月程度運動を控えても改善が見られない場合は、受診を考えるタイミングとなります。抑うつ症状が出て日常生活に支障をきたすようであれば、受診をしましょう。
- 体調がすぐれない
- これまでどおり運動ができない
- 体力が回復しない
- 気分が乗らない
- 眠れない
プログラム料金(自費)※保険診療ではありません
1時間 | 15,000円(開業記念価格2025年6月まで13,000円) |
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運動プログラム1時間+タクティール®ケア30分 | 18,000円(開業記念価格2025年6月まで16,000円) |
実施者プロフィール
池田 美樹(いけだ みき)
早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程満期退学
公認心理師・精神保健福祉士・臨床心理士・日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント®実践士
日本公認心理師協会理事、日本ストレスマネジメント学会常任理事
桜美林大学リベラルアーツ学群准教授、桜美林大学陸上競技部顧問
早稲田大学大学院人間科学研究科修了後、教育研究所(教育相談)を経て、2000年から武蔵野赤十字病院精神科(臨床心理係長)。地域の基幹病院にて、身体各科とのリエゾン・コンサルテーションに従事。2016年より、桜美林大学、同大学院(臨床心理)で教育・研究活動を行うとともに、桜美林大学陸上競技部短距離ブロック顧問としても活動している。
主なランニング歴と自己ベスト
- 800m 公認2分46秒00(年代別W50 1位)
- 5k 19分41秒(2022.1)
- 10k 40分34秒(2021.2)
- ハーフ 公認1時間31分12秒 (Net 1時間30分46秒)
- フル 公認3時間19分2秒 (Net 3時間17分56秒)
- 大会入賞歴多数
寺尾 隆宏(てらお たかひろ)
株式会社rollingbase 代表取締役
蓑原ローリング療法講師
インテンション株式会社 顧問
1979年大阪府生まれ。幼少期よりサッカーを始め、高校時代にローリング療法に出会う。
高校卒業後1999年-2002年まで渡仏し日本のコレクションブランドでビジネスを学び、13年間アパレル業界で経営企画や店舗経営に従事するが30歳の時に始めたマラソン競技での故障をきっかけに施術家の道に転身。
2015年8月に東京にてランナー向けコンディショニングサロンrollingbaseを設立。
2018年よりリオ五輪 男子陸上4×100mリレー 銀メダリストの飯塚翔太選手(ミズノ)の専属トレーナーに就任し、日々のケアだけでなく国内外の大会に帯同しており世界陸上は5回、オリンピックは東京、パリと4大会連続出場に貢献している。
個人の特性に合わせた施術やトレーニング指導がトッププロから市民アスリート、アスリートマインドを持つエグゼクティブから高い評価を得ており、最近では施術機器メーカーやエステサロンの顧問も務める。
ウェルネスに関わる法人とのコラボレーションで幅広く活動の範囲を拡げながら自身も市民ランナーとしてマラソン競技の記録更新とトレーニングに励み、大人のアスリート活動を追求し続けている。
リラクゼーションプログラム;タクティール®ケア(自費)
日本スウェーデン福祉研究所認定セラピストである精神保健福祉士による、優しく包み込むようなスウェーデン発祥のタッチケアです。その場で力を抜いてリラックスできる時間を提供するリラクゼーションプログラムです。
タクティール®ケアとは
タクティール®とは、ラテン語の「タクティリス」に由来する言葉で、「触れる」という意味があります。ケアは、手を使って10分程度、相手の背中や手足を「押す」のではなく、やわらかく包み込むように触れていきます。
タクティール®ケアのはじまり
1960年代に、スウェーデンで未熟児ケアを担当していた看護師によって始まりました。乳児の体を毎日優しく触れていた所、体温が安定し、体重の増加がみられ、触れることの有用性を確信した看護師によって、タクティールメソードが作られました。
タクティール®ケアの仕組
タクティール®ケアで触れる時に、皮膚の触感が刺激され、脳の視床下部から血液中にオキシトシンが分泌されます。それが体内に広がることによって、不安やストレスを和らげるとされています。また触覚が、脊髄内の痛みを脳に伝達するゲートを閉じる働きをすることで、痛みを緩和します。
タクティール®ケアの方法
背中、手、足をそれぞれ10分~20分、決められた方法とスピードで、包むように優しく触れていきます。
※医師による診療がなくても受けられますが、初回は医師による診療を受けていただきます。
※押したり揉んだりしません。着替えは、不要です。
※施術中は、話しかけないので、目をつぶってタッチケアに身を委ねて下さい。
※手足には、滑りをよくするためにオーガニックのオリーブオイルを使用しますが、匂いはほとんどありません。
こんな方におすすめ
- イライラする
- 心配事がある
- 不安、緊張を改善したい
- ぐっすり眠れない
- 手足の冷えやむくみ、痛みがある
- 笑顔、会話が減ってしまった
- 心療医院受診を迷っている方
- 家族の付き添いで来ている方
プログラム料金(自費)※保険診療ではありません
背中20分 | 2,800円 |
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両手または両足30分 | 3,800円 |
50分コース(2箇所) | 6,500円 |
70分コース(3箇所) | 10,000円 |
運動プログラム1時間とタクティール®ケア30分のセット | 18,000円(開業記念価格2025年6月まで16,000円) |
実施者プロフィール
城倉 かほる(じょうくら かほる)
精神保健福祉士、タクティール®ケアⅠセラピスト(日本スウェーデン福祉研究所認定)
学習院大学文学部卒業
食品メーカーの販売部、営業部を経験後、精神保健福祉士の資格を取得。
愛知県の精神科病院にて、精神保健福祉士として勤務。男性急性期病棟、亜急性期病棟を担当。患者、家族向け勉強会、入退院時面接や相談支援、退院前訪問なども受け持つ。精神保健分野の早期介入や予防の大切さを感じ、より生活に近いクリニック勤務へ。東京都内の精神科クリニックで、初診時面接、各種制度利用支援、障害年金申請援助、訪問看護に従事。面接を重ねるうちに、受診までの迷う期間の短縮や家族のケア、予防の重要性を感じ、誰にでも心地よさや安心感を持ち帰ってもらえるケアを探し、タクティール®ケアに出会う。長谷寺など湘南~鎌倉エリアのイベントやカフェでも施術。